設立趣意書

 私たちは、今、社会の転換期が到来していることを実感します。
石油価格の高騰や世界的な食糧不足、そして顕在化しつつある気候変動に
直面し、私たちの暮らしが、低い食糧自給率、木材、エネルギーなどの
自給率の上にあるという現実を知り、危機感を持つようになりました。

 そして昨年秋のグローバリゼーション経済の崩壊は、
私たちに価値観と行動の転換を迫る出来事でした。 新しい価値観、新しい生活様式、それは、環境と共生し、
人と人のつながりや互酬性を大切にする永続性のある
コミュニティをベースにしたものではないかと考えました。
そして、私たちが暮らす、ここ小川町でそのようなコミュニティを創りたく、
NPO法人を設立することにしました。 

 埼玉県の西北部に位置する小川町は、周囲を秩父山系に囲まれた
自然豊かな里地里山です。
人口は3万人あまり。この人口規模は、住民同士のコミュニケションが
円滑に取れ、“私たちのまち”といった意識も持ちやすい
適度なサイズ人数です。

 東京から僅か、電車で1時間20分で、緑のトンネルを成す水坂峠を越えると、
目の前に小川盆地が広がります。そこには、美味しい空気や美味しい水、
豊かな田畑があります。里山には多種多様な動植物も棲息しています。
この自然がもたらす豊かさに感謝し、それらを活かして、食糧やエネルギーが
循環し、自給率の高い、新しい暮らしを作り上げたいと思います。
日本の食糧自給率は40%あまりですが、幸い小川町には40年近くも
有機農業に取り組んできたパイオニアが存在し、
町の有機農家の比率は全国有数です。
生産者と生活者の提携や、買い支えによりって地産地消や、
高い食料自給率を実現することが可能です。

 また、周囲の森林資源にも注目しています。
間伐材はエネルギー源であり、建築材でもあると同時に、
森は人を元気にしてくれます。
エネルギーの自給もまた夢ではありません。
川のせせらぎや景観は人を慰め、大切な水を供給してくれます。
私たちは、こうした里地里山の持つ様々な地域資源を活用して
“「食」と「エネルギー」自給の地産地消モデル”を創造したいと考えています。
そして、私たちはこうした活動を通して、顔と顔の見える有機的で信頼のある
ネットワークを築き、互いに助け合い、互いの能力を発揮し、
誰でも安心して住める豊かな地域づくりを目指します。

2009年8月26日 理事長 高橋優子